トルマリン(英:Tourmaline)は、シンハラ語(スリランカ語)の「トゥルマリ、混ざり合った」という言葉を語源にするように、ありとあらゆる宝石と混同されてきた存在です。これは、トルマリンのカラーバリエーションが非常に多様であるためで、それぞれの色のトルマリンが、近似する色の別の宝石に間違えられることが度々あったようです。
なお、鉱物の中で唯一、永続的に帯電する性質を持つことから、和名では電気石と呼ばれています。10月の誕生石であり、忍耐、寛大、潔白などの石言葉を持ちます。
トルマリンのカラーは細分化すると数十種類に及ぶとされています。ここでは代表的なもの数種類について述べていきたいと思います。
グリーントルマリンは、その名の通りグリーンを示すトルマリンです。別名「バーデライト」とも呼ばれます。宝石として流通するトルマリンの中では最も一般的なものの一つで、大粒で透明度が高いものが採取されやすいことが特徴です。
青みがかったグリーンのエメラルドとはまた異なる、ツァボライトガーネットに似た、力強いグリーンを示します。ただし、黒みを含むものが多く、角度によっては真っ黒に見えてしまうものも存在します。なお、同じくグリーンですが、より濃い色を示す「クロムトルマリン」も存在します。
ピンクトルマリンもまた、最も一般的なトルマリンの一つで、マンガンによる鮮やかなピンク色を示します。グリーントルマリンと比べるとインクルージョンが多く、透明度が高いものが少ないのが特徴です。
明確な判定基準がないため、後述のルベライトとの境界がややあいまいであり、ピンクトルマリンが「ルベライト」として販売されているケースもあるようです。
ルベライトは、レッドトルマリンとも呼ばれる、赤系統のトルマリンです。名前の由来は、ルビーと同じくラテン語で赤を表す「ルベウス」です。外見もルビーによく似ているため、かつては混同されることが多く、ロシア帝室の王冠についていた宝石がルビーでなくルベライトだった、などの逸話が残っています。
おおむねレッド~パープルの範囲に収まりますが、同じくマンガンが発色要因となっている、ピンクトルマリンとの境界はややあいまいであり、これもルビーとピンクサファイアの関係と似ています。なお、パープルのものは「シベライト」と呼ばれることもあります。
バイカラートルマリンは、2種類の色が1ピースの石の中で観察できる宝石です。色は混ざり合っているわけではなく、はっきりと分かれています。2色でなく3色(トリコロール)のものもあります。
このように複数の色を示すのは、発色の要因となる物質が別々のタイミングで石に取り込まれ、それぞれ独立した層を作り出したためです。
なお、内側がピンク、外側がグリーンの配色のトルマリンを輪切りにしたものは、バイカラーとは呼ばず、ウォーターメロン(スイカ)トルマリンと呼ばれています。
パライバトルマリンは、1987年にブラジルのパライバ州で発見された、新しい宝石です。インクルージョンが多く、ほとんどが小粒なものであるにも関わらず、カラット当たりの単価が宝石の中で最も高額といわれ、他のトルマリンとは一線を画した存在です。
最初に発見された鉱山は「オールドマイン」と呼ばれ、良質な原石を産出していましたが、現在はほぼ枯渇しています。また周囲の地域でも産出しておりますが、いずれも少量にとどまっており、近い将来枯渇することが予想されています。現在主流のものは、アフリカのモザンビーク産などです。
色調は幅広く、エメラルドグリーンのような色から、この宝石の代名詞とも呼べる、ウィンデックスブルーやネオンブルーなどと呼ばれる鮮やかで濃いブルーを示すものまで多彩です。発色の要因となるのは多量の銅で、この分量により色の濃淡が変わってきます。なお、現在は、銅が発色の要因となっているトルマリンは、パライバトルマリンとして認められています。
インディゴライトは、パライバトルマリンに次ぐブルーのトルマリンで、明るいネオンブルーが特徴のパライバトルマリンに対して、落ち着いた深いブルーが印象的です。また、稀少性もパライバトルマリンに次ぐといわれています。
ローマ時代から知られていた古い宝石でしたが、長くヨーロッパにおいて忘れられていました。18世紀に入り、スリランカから持ち込まれたものが広まり、再び脚光を浴びました。
ほとんどが1カラットに満たないため、大粒のものは高値で取引されているようです。
この他、稀にキャッツアイ効果(シャトヤンシー)を持つトルマリン・キャッツアイも存在します。
トルマリンには上記以外にも沢山の種類が知られており、「すべての色を有する」とまで言われています。また、先述の帯電性によりホコリ取りに使われた、マイナスイオンを発生させるなど、逸話には枚挙にいとまがなく、様々な側面を持った魅力的な宝石であると言えます。
当社では、各種トルマリンのルース、ジュエリー共に取り揃えております。気になる商品がございましたら、お気軽に各店スタッフまでお問い合わせください。
また、お買い上げいただいたルースを使用した、ジュエリーのセミオーダー/フルオーダーも承っております。トルマリンのジュエリーに使われるカット形状は、オーバル、マーキス、ペアシェイプ、スクウェアなどのカット方法がよく見受けられます。ご希望に合わせ、様々なご提案をさせていただきますので、ぜひご相談ください。
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