ジュエリーとして使われる硬度として、主に2つあり、内容が異なります。
モース硬度:宝石の表面の硬さ(傷つきにくさ)を示す
ビッカーズ硬度:貴金属の硬さを示す
モース硬度
宝石の表面の硬さ(傷つきにくさ)は、その中で原子間の結びつきが、どの程度強いかによって決まります。
そこで、ドイツの鉱物学者モースはかたさを10段階に分け、それぞれの基準となる鉱物を選び、これをモース硬度と言います。
1:滑石 タルク
2:石膏 ジプサム
3:方解石 カルサイト
4:ほたる石 フルオライト
5:燐灰石 アパタイト
6:長石 オーソクレース
7:石英(水晶) クォーツ
8:トパーズ
9:コランダム(ルビー、サファイア)
10:ダイヤモンド
石留めに使うヤットコやタガネは硬度7前後があります。それより低い高度の宝石はやすりやタガネあたると傷ついたり、欠けたりする恐れがありますので、注意が必要となります。
たとえば、ジュエリーによく用いられる硬度の低い宝石は、こはく(2½)、サンゴ(3½)、マラカイト(4),真珠(3½~4),アパタイト(5),ラピスラズリ(5~6),オパール(5½~6½),トルコ石(5~6),ムーンストーン(6),クンツァイト(6~7),ブルーゾイサイト(6~7),ペリドット(6½~7)などがあります。
なお、指の爪(2),ナイフ・ガラス(5.5)です。
ただ、硬度が高いものでも、硬度というのは表面のひっかきや摩耗などに対する石の抵抗力の大きさであって、カケにくい、割れにくいこととは別なので、劈開が顕著に表れる宝石、たとえば、ダイヤモンド(10)やトパーズ(8)は硬度が高くても、強い打撃によりカケたり、割れたりすることがあります。
そうしたカケや割れに対する抵抗力は靱性といいます。
ビッカース硬度(Hv)
ビッカース硬度(Hv)とは、金属の硬さを測定する方法の一つとしてビッカーズ硬さ計で測った硬さの値です。
この方法では、測定物にダイヤモンドの真四角錘の頂点を一定の圧力で押し付け、くぼみをつけて、その大きさを顕微鏡で測定して定量化したものです。
数値が大きいほど硬度は高くなります。
下記主なビッカーズ硬度です。
純金 25~70Hv
K18イエローゴールド 120~250Hv (割金の割合で異なる)
K18ホワイトゴールド 140~260Hv
K18ピンクゴールド 150~240Hv
K18グリーンゴールド(青金)40~130Hv
純プラチナ 50~110Hv
Pt900 60~130Hv
Pt850 70~200Hv
純銀 25~100Hv
SV925 70~150Hv
※銀の硬さは、熱処理で軟化させたものでは、25Hv前後と軟らかく、これを加工すると80~100Hv程度まで硬くなります。
しかしながら、加工によって硬化した純銀は、常温でも日が経つにつれて軟らかくなり、これを経時軟化といわれ、純金、純プラチナなどにも共通してみられる現象です。
そこで、経時軟化を防止する手立てとして微量の異物を結晶の内部や粒界などに介在させる方法をとることがあります。
このように高い純度を保ちながら硬さを高めたものに、パイロット社製のウルトラハードプラチナPt1000 などがあります。